加法定理を証明せよ!【1999東大数学 理系/文系1⃣解説】

2020年6月29日

どうも!地頭コーチSHUです!

今日も入試数学の解説をしていこうと思います。

今回取り扱うのは

「加法定理の証明」

です。

出題はなんと東京大学!1999年の入試で理系文系ともに第一問で出題されました。

受験生が「倍角、半角、和積、積和は全部加法定理から証明できる。だから加法定理だけしっかり押さえればいいんだね」

と思っていたところに

東大教授が「じゃ、加法定理証明して(⋈◍>◡<◍)。✧♡」

なんていうもんですから、当時の受験生は相当ビビったことでしょう。

実際加法定理の証明はm…

とここで色々語ってもしょうがないので早速解説に入ってい行きます。2通りの証明で解説するので、しっかり理解してくださいね!

加法定理の証明 1999東大1⃣

問題はこちら!

解説1. 教科書的な証明

【方針】

教科書にあるように、余弦定理を使う証明をする。(1)は直角三角形を使った定義だと0<θ<π/2でしか定義できないから、単位円を使う方がベターかな。

【解答】

(1)単位円周上の点P(1,0)を考える。任意の実数θに対し、OPをθだけ反時計回りに回転させたときにPが移動した先の点P’の座標を\((cosθ, sinθ)\)と定義する。

(2)単位円周上に2点A,Bを以下の図のようにとる。

この時、三角形OABについて余弦定理より

$$ \begin{align}

AB^2&=OA^2+OB^2-2OA・OB・cos(α-β)\\

&=1+1-2cos(α-β)\\

&=2-2cos(α-β)

\tag{1}

\end{align}$$

である。(OA, OBは共に単位円の半径なのでOA=OB=1であることを利用した)

また、A(cosβ, sinβ), B(cosα, sinα)であるからABについて

$$ \begin{align}

AB^2&=(cosα-cosβ)^2+(sinα-sinβ)^2\\

&=sin^2α+cos^2α+sin^2β+cos^2β-2cosαcosα-2sinβsinβ\\

&=2-2cosαcosβ-2sinαsinβ

\tag{2}

\end{align} $$

が成立する。式(1), (2)より

$$2-2cos(α-β)=2-2cosαcosβ-2sinαsinβ\\

⇔cos(α-β)=cosαcosβ+sinαsinβ

\tag{3}$$

を得る。式(3)において、βを-βに置き換えると

$$cos(α+β)=cosαcos(-β)+sinαsin(-β)

\tag{4}$$

である。今、点Q(1,0)についてOQを時計回りにθだけ回転した時、Qの移動先の点Q’の座標を\((x’, y’)\)とすると、\(x’=cos(-θ),  y=sin(-θ)\)である。ここで、点Q’は(1)の点P’と\(x\)軸対称である。従って、\(x’=cosθ,  y’=-sinθ\)であるから式(4)について、

$$cos(α+β)=cosαcosβ-sinαsinβ

\tag{5}$$

となる。更に、式(3)において\(α\)を\(\frac{π}{2}-α\)に置き換えると

$$cos(\frac{π}{2}-(α+β))=cos(\frac{π}{2}-α)cosβ+sin(\frac{π}{2}-α)sinβ

\tag{6}$$

である。今、点R(0,1)についてORを時計回りにθだけ回転した時、Rの移動先の点R’の座標を\((x”, y”)\)とすると、\(x”=cos(\frac{π}{2}-θ),  y”=sin(\frac{π}{2}-θ)\)である。ここで、点R’は(1)の点P’と直線\(y=x\)に関して対称である。従って、\(x”=sinθ,  y”=cosθ\)であるから、式(6)について、

$$ cos(\frac{π}{2}-(α+β))=cos(\frac{π}{2}-α)cosβ+sin(\frac{π}{2}-α)sinβ\\

⇔sin(α+β)=sinαcosβ+cosαsinβ

\tag{7}$$

以上で題意は示された。 (終)

【解答注】

多分これが一番オーソドックスだと思います。教科書にも同様の証明が載っていたはずです。

式(5), (7)を得るところで点Q’, R’というのを考えました。「三角関数の相互関係より」の一言で普段なら済ませられる部分ですが、今回はそれらの性質も一度証明してから使うべきだと判断しました。

解説2. 図形的意味を考える

【方針】

三角比の話なんだから、図形的に考えることもできるだろう、という発想で加法定理の図形的な意味を考えてみます。ちょっと複雑な図になりそうですが、まぁなんとかなるでしょう。

【解答】

(1)解説1と同様。省略。

(2)下図のように各点、角を定める。

∠AOC=α, ∠COD=βとまず定める。この時、∠AEO=∠ACO=\(\frac{π}{2}\)より、円周角の定理の逆から4点A, O, C, EはAOを直径とする円周上に存在する。したがってこの円における弧CEについて、円周角の定理から∠EAC=βとなり、平行な2直線AE, BDの錯角で∠ACB=βを得る。

ここで、三角形AOEにおける正弦、余弦について考える。

$$ \begin{align}

sin(α+β)&=\frac{AE}{OA}\\

&=AE\\

&=BD    (AE//BDより)\\

&=BC+CD\\

&=ACcosβ+OCsinβ\\

&=sinαcosβ+cosαsinβ

\end{align} $$

$$ \begin{align}

cos(α+β)&=\frac{OE}{OA}\\

&=OE\\

&=OD-ED\\

&=OCcosβ-AB    (ED//ABより)\\

&=cosαcosβ-sinαsinβ

\end{align} $$

以上で題意は示された。  (終)

【解答注】

定理そのものの証明はこんな感じでもできますが、「(1)の定義に基づき」というところが怪しいかもしれません。(1)の定義に基づいて考えましたよって感じを出したければ座標平面上に図を書いたりするといいかもしれませんね。

Take Home Message

いかがだったでしょうか?

今回は2通りしか紹介しませんでしたが、理系なら複素数の回転や行列の一次変換を利用した証明なんかもできそうですね。それ以外にも考えてみる価値のある問題だと思います。

これからこの問題を通して学んでほしい事を伝えるので、是非記憶に留めてこれからの勉強に生かしてください。

本来、数学を学ぶ上で「定理の証明」が重要であることは言うまでもありません。証明できない定理・公式を使うというのは原理を知らないまま使い続けるという事であり、間違った理解につながりかねないある種危険な行為だともいえます。

一方で受験数学においては公式や解法を覚えてそれを練習していく方が効率的ですし、点数には直結します。いちいち証明に時間を使っていては受験勉強が捗らないというのも事実です。

ですが、本当にそれでいいのでしょうか?毎年毎年、どこかの大学で定理を証明する問題が出題されています。これは大学側からの「原理原則をきちんと理解してほしい」というメッセージなのではないでしょうか?

解法や公式を覚え、ストックしておく「知識力」は確かに大事です。それはそのまま伸ばしてくれればいいです。

しかし、それでは限界が来ます。ストックしていく解法や公式、定理について「なぜこれは上手くいくのか」「この意味は何なのか」「なぜこの式が成立するのか」といった背景までしっかり考え、「推測力」を磨くことがいわゆる「数強」になる道なのではないでしょうか?

しっかりと背景を考えた上で知識をストックしていく

この姿勢を忘れずに受験勉強に取り組んでほしいと思います。

お疲れ様でした。