ベクトル方程式とは?「意味不明!分からない!」から「分かる!」になる徹底解説【数学B】

2021年1月27日

どうも!受験コーチSHUです。

「ベクトル方程式がマジで意味わからない」って人、かなり多いと思います。

授業で、「\( \overrightarrow{OP} = \overrightarrow{OA} + t \overrightarrow{u} \) が直線のベクトル方程式で~」なんて最初に聞いた時は、頭に???しか浮かばなかったかもしれません。

僕も初めて習ったときは何やってるのか分かりませんでした。

ですが、きちんと数式を理解し、その意味が分かればベクトル方程式は特別視するようなムズカシイものではなく、めっちゃ使えるツールになります。ベクトルを上手く使えるようになれば、入試問題の解法の幅はかなり広がり、数学でしっかり点が取れる可能性も高まります。

この記事では、「ベクトル方程式意味わからん!」から「めっちゃ使えるやんこれ!」になるように、基本から応用まで解説していこうと思います。

ベクトル方程式とは?

ベクトル方程式とは、その図形上の任意の点を表す位置ベクトルのことです。通常、図形を表す「方程式」と言えば、図形上の点 \((x, y)\) が満たす方程式、すなわち、その \(x, y \) が解となるような方程式のことを言います。ベクトル方程式は、これに則せば「ベクトル方程式」とは図形上の点 \( (x, y) \) を表すベクトルである、という事ができるわけです。

「いやいや、それだけじゃ分からないから調べてるんでしょ!」

という声が聞こえてくるのでここから掘り下げていきます。

一般的に、\(xy\) 平面上の図形を表す方法として

  1. \( y=x^2\) のように、その図形上の点の \(x\) 座標と \(y\) 座標の値が満たす関係式(図形を表す方程式)によって表す方法
  2. その図形上の任意の点を、パラメータを用いて表す方法(媒介変数表示)

があります。1の話は図形と方程式の分野に譲るとして、今回は後者をベクトルの利用によって表すことを考えてみましょう。

例えば、直線 \(y=2x\) 上にある任意の点 \(P(x, y)\) の位置ベクトルは、任意の実数 \(t\) を用いて

$$ (x, \, y) = (t, \, 2t) $$

と表すことができます。これがすなわち直線OPの方程式という事になるわけです。

このように、適切なベクトルを考えることで、パラメータを含むベクトルによって図形を表すことができるわけです。まずは平面内の図形として直線や曲線を考えてみましょう。

いずれの場合も、図形の定義、図形がどのようにして特徴づけられるか、という事をきちんと言語化し、それを数式に直すだけでベクトル方程式が現れてきます。

平面内のベクトル方程式

直線のベクトル方程式

一般的に、直線は通る2点(ある1点と傾き(伸びる方向))が分かればその直線を表す方程式が得られます。例えば、直線 \( l \, : \, y=x+1 \) というのは点 \( A(0, 1) \) を通り、 \( (1, 1) \) の方向に伸びていく直線だという事ができます。

直線 \(l\) 上の任意の点 \(P(x, y)\) を、適当なパラメータを用いて表すことを考えてみます。原点Oを起点として、直線上の点Pへと向かうベクトル \( \overrightarrow{OP} \) は、\( \overrightarrow{OP} = \overrightarrow{OA} + \overrightarrow{AP} \) という風に分解できます。ここで、2点A、Pは共に直線上の点ですから、\( \overrightarrow{AP} \) は「直線が伸びていく方向」である \( (1, 1) \) (これを \( \overrightarrow{u} \) とします。)と平行です。従って、\( \overrightarrow{AP} = t(1, 1) =t \overrightarrow{u} (tは任意の実数) \) と表すことができ、
\begin{equation}
\overrightarrow{OP} = \overrightarrow{OA} + t \overrightarrow{u}   式(1)
\end{equation}
となります。

これを直線 \(l\) のベクトル方程式と呼んでいます。また、このベクトル方程式を成分を用いて
\begin{equation}
(x, y) = (0, 1) + t(1, 1) = (t, 1 + t)  式(2)
\end{equation}
と表すことも多いです。

入試においては成分が与えられている場合は式(1)用いて、そうでない場合は式(2)を用いると良いでしょう。

※計算上は、ベクトルを「縦ベクトル」で表記した方が分かりやすいことが多いです。本記事も、なるべく近いうちに縦ベクトル表記に直しておきます。

さて、「直線の伸びていく方向」を表すベクトル \( \overrightarrow{u} = (1, 1) \) ですが、このベクトルを直線 \(l\) の方向ベクトルと呼びます。方向ベクトルとは、直線に平行であり \( \overrightarrow{0} \) でなければどのようなベクトルを持ってきてもOKです。例えば、今回は方向ベクトルとして \( \overrightarrow{u} \) の代わりに \( \overrightarrow{v} = (2, 2) \) を用いれば、直線 \(l\) のベクトル方程式は
\begin{equation}
(x, y) = (0, 1) + t(2, 2)
\end{equation}
と表すこともできます。また、通る一点として与える点も \(A(0, 1)\) である必要はないので、例えば点 \( B(2, 3) \) を通り、方向ベクトルが \( \overrightarrow{v} \) である直線は \(l\) ですが、そののベクトル方程式は
\begin{equation}
(x, y) = (2, 3) + t(2, 2)
\end{equation}
となります。

このように、ある直線のベクトル方程式は一通りではないことに注意しましょう。

しかし、どのようにベクトル方程式を作ったとしても、パラメータ \(t\) の値を調節する事によって直線 \(l\) 上にある任意の点を表すことができるのです。これで、「ベクトル方程式とはその図形上の任意の点の位置ベクトルをパラメータ表示したものである」という意味が分かるようになったのではないでしょうか?

 

直線のベクトル方程式 点Aが \( A(a_1, a_2) \) を通り、方向ベクトルが \( \overrightarrow{u} = (p, q) \) であるような直線 \(l\) 上にある任意の点 \( P(x, y) \) を表すベクトル方程式は、実数 \( t \) を用いて
\begin{eqnarray}
\overrightarrow{OP}& = & \overrightarrow{OA} + t\overrightarrow{u} \\
(x, y) & = & (a_1, a_2) + t(p, q) \end{eqnarray}
と表すことができる。 

それでは、次に円のベクトル方程式を見ていきましょう。

円のベクトル方程式

円とはどのような図形でしょうか?円とは「中心からの距離が一定である点の集合」です。

これを考えれば、中心Aの位置ベクトルが \(\overrightarrow{a} \) であり、半径が \(r\) であるような円上の点Xの位置ベクトル \(\overrightarrow{x} \) について次の等式
\begin{equation}
\left | \, \overrightarrow{x} – \overrightarrow{a} \, \right | = r 
\end{equation}
が成立します。

この等式を円のベクトル方程式といいます。というのも、この等式を \( \overrightarrow{x} \) について解けば、既に分かっているベクトル \( \overrightarrow{a} \) と定数 \(r\) を用いて表すことができ、円上の任意の点の位置ベクトルが得られるからです。

補足すると、円の中心を起点とするベクトルを考えれば \( \overrightarrow{a} \) は \( \overrightarrow{0} \) です。

さて、円の中心とは直径の中点です。そこで、直径の両端の位置ベクトルが分かっているような場合における、円のベクトル方程式を考えてみましょう。

直径に対する円周角が \( \frac{\pi}{2} \) であることを用いれば、円上の点Xの位置ベクトルを \( \overrightarrow{x} \) 、直径の両端A、Bの位置ベクトルをそれぞれ \( \overrightarrow{a} \) 、 \( \overrightarrow{b} \) とすれば
\begin{eqnarray}
\overrightarrow{AX} \cdot \overrightarrow{BX} &=& 0 \\
(\, \overrightarrow{a} – \overrightarrow{x} \, ) \cdot (\, \overrightarrow{b} – \overrightarrow{x} \, ) &=& 0 
\end{eqnarray}
が成立します。\( \overrightarrow{x} = (x, y) \) とし、点Aと点Bの座標を \( A(a_x, a_y ), B(b_x, b_y) \) とすれば、上に示した円のベクトル方程式は成分を用いて
$$ (x \, – a_x)(x\,  – b_x) + (y\,  – a_y)(y \, – b_y) = 0 $$
と表せることが分かります。

円のベクトル方程式 直径ABの両端の位置ベクトルを \( \overrightarrow{a}, \overrightarrow{b} \) とするとき、中心Cの位置ベクトルは線分 \(AB \) の中点の位置ベクトルを考えて \( \overrightarrow{c} = \frac{ \overrightarrow{a} + \overrightarrow{b}}{2} \) である。半径が \(r\) であるとき、円上の点Xの位置ベクトルを \(\overrightarrow{x} \) とすると次の等式が成立し、この等式を円のベクトル方程式と言う。 \begin{eqnarray} \left | \overrightarrow{c} – \overrightarrow{x} \right | &=& r \\ \left | \frac{ \overrightarrow{a} + \overrightarrow{b} }{2} – \overrightarrow{x} \right | &=& r \\ \overrightarrow{AX} \cdot \overrightarrow{BX} &=& 0 \end{eqnarray}

円の接線のベクトル方程式

円や直線の時同様、図形の定義や性質を利用することでベクトル方程式を考えることができます。

円の接線は、中心から接点へ引いた直線と直交します。この性質は、円の直径の両端が分かっているときの円のベクトル方程式と同様に考えれば、内積を用いて次のように考えることができます。

先ほどと同様に、円の中心Aの位置ベクトルを \( \overrightarrow{a} \) とし、円上の点Xの位置ベクトルを \( \overrightarrow{x} \) としましょう。ここで、ベクトル \( \overrightarrow{AX} \) に垂直なベクトルを \( \overrightarrow{n} \) とします。すなわち、点Xにおける接線の方向ベクトルが \( \overrightarrow{n} \) ということです。

この時、
\begin{equation}
\overrightarrow{AX} \cdot \overrightarrow{n} = 0
\end{equation}

が成り立ちます。これだけ見るとあまり意味がないように見えますが、座標平面で考えるとこの良さが分かると思います。

今、ある円の中心Aの座標を \( A(1, 3) \) 、接点の座標を \( X(x, y) \) とします。今、接線の方向ベクトルを \( \overrightarrow{n} = (2, 5) \) とすれば、接線の方程式は
\begin{eqnarray}
\overrightarrow{AX} \cdot \overrightarrow{n} &=& 0 \\
(x \, – 1, \, y \, – 3) \cdot (2, \, 5) &=& 0 \\
2(x \, – 1) + 5(y \, – 3) = 0
\end{eqnarray}
となります。円の接線についてはいわゆる公式もありますが、このように「図形的意味」をきちんと考えることによっても接線の方程式を作ることができます。ベクトルによる考え方もしっかりと理解してください。 

空間内のベクトル方程式

空間に拡張されても考え方は変わりません。

ベクトルを用いることのメリットはここにあります。二次元(平面)、三次元(空間)…と次元が変わっても計算を機械的に行うことができるのです。

空間内の直線

空間内においても、平面と同様に直線のベクトル方程式を考えることができます。

点A(\( \overrightarrow{a} \))を通り、方向ベクトルが \( \overrightarrow{u} \) であるような直線上の任意の点X(\( \overrightarrow{x} \))は、$$ \overrightarrow{x} = \overrightarrow{a} + t \overrightarrow{u} $$ と表せる。

これは、点Aや点Xが座標空間内にあっても変わりません。すなわち、\( \overrightarrow{a} = (a, b, c) \)とし、\( \overrightarrow{u} = (p, q, r) \) とすれば、\( \overrightarrow{x} = (x, y, z) \) は
$$ (x, y, z) = (a, b, c) + t (p, q, r) $$
という風に成分で表せる、ということです。

空間内の直線はこのようにベクトルを用いて表記することが普通です。もちろん、上の式を \(t\) について解けばパラメータを用いずに直線の式を表すことができますが、あまり使われない表記です。

空間内の平面のベクトル方程式

空間内に、同一直線状にない3点A、B、Cがあり、その3点を含む平面を平面Xと呼びましょう。平面上にある任意の点Pを取ったとき、点Pの位置ベクトルはどのようになるでしょうか?

点Pは平面Xの上にありますから、この平面内で考えれば、\( \overrightarrow{AP} = s \overrightarrow{AB} + t \overrightarrow{AC} \) と表せることが分かります。ベクトルの起点を別の起点Oとすれば、\( \overrightarrow{OP} = \overrightarrow{OA} + \overrightarrow{AP} \) と表せるので、先ほどの \( \overrightarrow{AP} \) を用いれば
\begin{equation}
\overrightarrow{OP} = \overrightarrow{OA} + \underbrace{s \overrightarrow{AB} + t \overrightarrow{AC}}_{\overrightarrow{AP}}
\end{equation}
という風になり、平面上の任意の点は、その平面上のある点と、その平面上の2本の平行でなく、\( \overrightarrow{0} \) でないベクトルの実数倍の和によって表すことができます。

点Pの取り方によって実数 \(s, t\) の値は変わり、平面上の任意の点の位置ベクトルは、2つのパラメータによって表せることが分かります。

更に上の式を変形すれば、
\begin{eqnarray}
\overrightarrow{OP} &=& \overrightarrow{OA} + s \overrightarrow{AB} + t \overrightarrow{AC} \\
\overrightarrow{OP} &=& (1 \, – s \, – t)\overrightarrow{OA} + s\overrightarrow{OB} + t\overrightarrow{OC}
\end{eqnarray}
となりますから3点A、B、Cを通る平面上にある任意の点Xの位置ベクトルは、\( \overrightarrow{OA}, \overrightarrow{OB}, \overrightarrow{OC} \) の実数倍の和で表すことができ、その係数の和は1となることが分かります。

この性質は空間ベクトルの問題では頻出の内容なのできちんと理解しておきましょう。

球面の方程式

球とは、中心からの距離が一定であるような、空間内の点の集合ですから、円と同様のベクトル方程式で表すことができます。

したがって、中心Aの位置ベクトルが \(\overrightarrow{a} \) であり、半径が \(r\) であるような球面上の点Xの位置ベクトル \(\overrightarrow{x} \) について次の等式
\begin{equation}
\left | \, \overrightarrow{x} – \overrightarrow{a} \, \right | = r  
\end{equation}
が成立します。今、\( \overrightarrow{a}=(a, b, c) \) として、上式の両辺を二乗した
$$ (x \, – a)^2 + (y \, – b)^2 + (z \, – c)^2 = r^2 $$
球面の方程式と呼びます。

まとめ

それでは、今回の内容を復習しましょう。

上に挙げた例を見てもらえれば分かると思いますが、ベクトル方程式とはあくまで図形上の任意の点を、パラメータを用いて表した位置ベクトルにすぎません。ベクトルとはあくまで単なるツールであり、特別難しい物ではないと分かるでしょうか?

自分の考えている図形の定義や性質に目を向け、数学Aや中学校で習うような図形の知識を総動員し、それをベクトルを用いて数式に直すことさえできればベクトル方程式は作ることができるのです。

「ベクトル方程式ってなんか苦手だな…」という悩みを持っていたら、少しきつい言葉で言えばそれはナンセンスな悩みです。ベクトルに対して苦手意識を持っているような場合、たいてい図形に関する知識が弱く、ベクトルで表されている数式がどのような性質に基づいているのか理解できていないことがほとんどです。

もし、この記事に書かれていることで分からないことがあれば、きちんと図形の基本的な性質とベクトルの扱い方から復習しましょう。

入試問題

最後に、入試問題を1題紹介します。基本的にベクトル方程式(図形上の任意の点の位置ベクトルをパラメータを用いて表わしたもの)そのものがテーマとなることはなく、あくまで解法の1つに出てくるような場合が多いです。

もちろん、誘導としてあらかじめある図形に関するベクトル方程式が与えられるような場合もありますが、そのようなケースはレアです。

それでは、問題に入ります。

問題 4点 \( O(0, 0, 0) , \, A(1, 2, 0) , \, B(2, 0, -1) , \, C(0, -2, 4) \) を頂点とする四面体 \(OABC\) について考える。

 

  1. 点 \(D(3, -2, 7)\) に対し、直線 \(OD\) と平面 \(ABC\) の交点 \( P\) の座標を求めよ。
  2. 頂点 \(O\) から平面 \(ABC\) に下した垂線の足 \(H\) の座標を求めよ。

解答のキーポイントのみ提示しておきます。もちろん、様々な解法が選択できるので解答が思いついた方はコメントにてお知らせください!

解答のポイント
(1)
平面 \(ABC\) 上にある任意の点 \(X\) の位置ベクトルは、\(\overrightarrow{OX} = OA + s\overrightarrow{AB} + t\overrightarrow{AC} \) によって表される。点 \(X\) が点 \(P\) と一致するとすれば、パラメータ \(s, \, t\) はどのような関係式を満たすだろうか? \( \overrightarrow{OP} \) がどのようなベクトルと平行であるか(点 \(P\) はどのような直線上にあるか)という点にも注意したいところ。

(2)
\( \overrightarrow{OH}\) は、どのようなベクトルと垂直であるか?また、点 \(H\) は平面 \(ABC\) 上にあるのだから、(1)と似たような議論ができるところがあるはず…。

注意
ここに示したキーポイントからも分かるように、ベクトル方程式はわざわざそう呼ばないだけで、実際の答案で既にみんな使っている考え方です。この点からも、ベクトル方程式はわざわざ特別視するようなものではなく、当然の物として扱うべきだという感覚が分かるのではないでしょうか?